ピロリ菌

ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ菌)について

ピロリ菌

胃の中に住み着いて胃粘膜の慢性的な炎症や潰瘍を生じさせる細菌です。免疫や胃酸が弱い幼少期に感染します。ピロリ菌はウレアーゼという酵素(尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解する)を産生することで、胃酸をアンモニアで中和し生息を可能にしています。
ピロリ菌が胃上皮細胞にもたらす直接的な作用(CagA蛋白の胃上皮細胞への注入など)と、ピロリ菌感染による遺伝子の変化が発癌の原因と考えられています。
胃癌の原因のほとんどがピロリ菌感染と言われており、実臨床でもピロリ未感染の胃癌には数%といった印象です。また、胃癌のみならず、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、悪性リンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、貧血、慢性蕁麻疹などさまざまな疾患と密接に関連した病原菌であり、早期の除菌が望まれます。
上下水道が整備されなかった時代には、便によって汚染された飲み水からの感染が疑われておりましたが、公衆衛生が整った現在では幼少期における母(父)子感染が原因と考えられています。産まれた子供に感染させないために、妊娠前に夫婦での検査をお勧めいたします。当院では胃カメラで感染が疑われた際にはピロリ菌検査を行っております。また、自費にはなりますが、胃カメラをおこなわない方にもピロリ菌検査をおこなっておりますのでご相談ください。(ピロリ菌検査は胃カメラで感染を疑われた場合にのみ健康保険(1〜3割負担)での検査が可能です。胃カメラを行わない場合は自費検査になります)

ピロリ菌の検査方法

胃カメラ胃カメラ検査で慢性胃炎が確認された場合、ピロリ菌検査は保険適用されます(胃カメラから半年以内)。陽性の結果が出た場合には除菌治療も保険適用されます。当院で対応している検査は3種類になりますが、全ての検査は100%ではないことから、2種類の検査組み合わせることがあります。また、除菌後におこなった胃カメラで除菌できていない可能性があれば再度検査を追加していきます。

ピロリ抗体測定法

血液に含まれる抗体を調べて感染の有無を判断する検査です。抗体は感染によって起こる免疫反応で作られます。抗体は除菌後もしばらく残るため、除菌直後の効果判定には適しません。また、感度・特異度が91〜100%・50〜91%であり、ピロリ菌陽性と判定された方にもピロリ菌陰性の方が多くなります。

尿素呼気試験(UBT)

呼気(吐く息)を採取して行う検査です。特殊な尿素が含まれた薬を服用する前後の呼気を採取して行います。ピロリ菌に感染している場合、薬に含まれた尿素はウレアーゼによって二酸化炭素とアンモニアに分解されます。特殊な尿素(13C-尿素)を使うことで、特殊な二酸化炭素(13CO2)が産生され、その増加率を調べることで感染の有無を確認できます。比較的感度、特異度が高い検査ですが、胃薬(PPI)の影響を受けるため、内服中のかたには検査を控えております。

※飛沫飛散のリスクの観点から現在は中止しております。除菌判定は同じく感度、特異度が高い便中抗原測定をおこなっております。

便中抗原測定法

便に含まれるピロリ菌抗原の有無を確認する検査です。比較的感度、特異度が高い検査ですが、ひどい便秘がある方にはやや不向きかもしれません。

除菌治療

ピロリ菌の除菌治療は、2種類の抗生物質(アモキシシリン、クラリスロマイシン)と、その効果を高める胃酸分泌抑制薬(ボノプラザン)を1週間服用します。当院ではこれらの治療薬がシートになっているボノサップを処方しております。
成功率は90%前後であり、1次除菌で成功しなかった場合は2次除菌をおこないます。2次除菌ではクラリスロマイシンをメトロニダゾールへ変更します。こちらも、当院ではボノピオンというシートになった薬剤セットを処方しております。
2次除菌までには98%の方は除菌成功しておりますが、2%の2次除菌で不成功になった方は保険診療でこれ以上除菌治療を行うことができません。当院では自費治療となる3次除菌にも対応しております。
治療内容は2種類の抗生剤(シタフロキサシン、メトロニダゾール)とボノプラザンを7日間内服していただきます。ペニシリンアレルギーの方で除菌希望の方もこちらのレジメンを使用します。
自費診療となるため、尿素呼気試験、院外薬局の薬剤費+調剤費、診察代を含めて15000〜20000円程度の費用が必要となります。また同日に保険診療を行うことはできません。

胃カメラ

除菌治療の流れ

Step1薬剤の服用

ピロリ菌を除菌するための抗生物質2種類(1次除菌の場合はアモキシシリン、クラリスロマイシン)と、その効果を高める胃酸分泌抑制剤(ボノプラザン)を1週間服用します。 抗生物質の副作用が生じることがあります。場合によってはお薬を中断していただきます。

起こる可能性のある副作用

  • 味覚異常(数%)→継続をお勧めいたします
  • 軟便や軽い下痢(約10%〜30%)→継続をお勧めします
  • 皮疹や痒みなどの薬疹(数%)→内服中止してください
  • 激しい腹痛や発熱(稀)→内服を中止してください

内服を中止すべき副作用が生じた場合や判断に困った場合は、すぐに当院までご連絡ください。薬疹が出た際には当院皮膚科での診察を行い重症度判定いたします。

Step2除菌判定

除菌の成功判定は服用を終了した後、少なくとも1ヶ月後にならないと正確な結果を得られません。当院では服用から2か月以上経過してから判定検査を行っています。判定は、便や呼気による検査でおこなっております。 除菌失敗した方は2次除菌をおこないます。抗生剤を1剤変更して同様に1週間治療薬を服用し、服用終了した2ヶ月後に再度効果判定をおこないます。 除菌が成功しても、一度ピロリ菌によって生じた萎縮性胃炎や腸上皮化生はすぐには改善しないため、胃がんのリスクは高い状態と言えます。定期的な胃カメラ検査をおこない、胃癌ができていないか検査していきます。定期的に検査をしていれば、早期胃癌で発見できるため予後には影響はありません。

住所 板橋区高島平1丁目55番5号
シャトー・ドゥ・ペール2F
電話 03-6906-7470

内科・消化器内科

診療時間
9:30~12:30
16:00~18:00
内視鏡検査
12:30~16:00 -

皮膚科・美容皮膚科

診療時間
9:30~14:00
15:00~18:00

▲土曜日は9:30〜12:30

DR.BRIDGE|クリニックホームページ作成クリニックホームページ制作
TOPへ